教室紹介

研究内容

消化管機能グループ

消化管機能グループでは、主に食道内圧検査、食道インピーダンスpH検査、内視鏡検査により疾患の病態の検討を行っています。食道の機能検査を主に⾏っていましたが、現在は内視鏡下胃機能検査および直腸肛門内圧検査を開始しています。今後は食道のみではなく全消化管の機能性疾患に対する研究を行って参ります。

研究

・GERD関連研究

  1. 新規酸分泌抑制薬であるボノプラザンのPPI抵抗性逆流性食道炎に対する治療効果
  2. 軽症逆流性食道炎、非びらん性逆流症(NERD)に対するon demand療法の治療効果
  3. PPI及びボノプラザン抵抗性NERDの病態
  4. 食道裂孔ヘルニアの診断(内圧と内視鏡診断による違い)
  5. GERDと便秘の関連性の検討
  6. PPI抵抗性重症逆流性食道炎患者、軽症逆流性食道炎患者、PPI反応性NERD患者における唾液分泌
  7. 男女別の軽症逆流性食道炎患者、NERD患者と健常者の唾液分泌
  8. PPIが唾液分泌に与える影響
  9. 治療抵抗性NERDにおけるBehavioral Disordersの頻度
  10. P-CAB抵抗性NERDにおける症状出現因子の検討
  11. レンボレキサントによるGERDの改善効果に関する前向き介入研究
  12. 高齢者と非高齢者のPPI抵抗性重症逆流性食道炎患者の特徴
  13. 治療抵抗性GERDの全国実態調査-多施設共同研究-

・食道運動障害関連研究

  1. 早期食道アカラシア患者の内視鏡所見
  2. Jackhammer esophagusにおける治療法別にみた患者の特徴
  3. Jackhammer esophagus患者の全国実態調査-多施設共同研究-
  4. 食道アカラシア診断に用いるStarlet食道内圧検査におけるintegrated relaxation pressure(IRP)カットオフ値の妥当性
  5. Starlet食道内圧検査における座位のIRP正常値の検討
  6. 食道アカラシア患者における食道内圧カテーテル挿入失敗の予測因子
  7. 3D-high resolution manometryを用いた食道アカラシア患者におけるLES圧方向性の検討
  8. Starlet食道内圧検査における食道蠕動収縮力(DCI)カットオフ値の妥当性
  9. 食道運動障害を有する好酸球性食道炎及び好酸球性食道筋炎の特徴

・胃機能関連研究

  1. 内視鏡下胃内圧測定による薬物抵抗性機能性ディスペプシアの病態評価
  2. 薬剤抵抗性機能性ディスペプシア患者に対する内視鏡下胃内圧測定における症状出現時の特徴

・直腸肛門関連研究

  1. 慢性便秘症患者に対する直腸肛門機能の評価

内視鏡診断治療グループ

日本人の死因のトップはがん死であり、がん死を減らすためにはがんの早期発見早期治療が重要です。日本人のがん罹患の第1位、3位となっている大腸癌や胃癌などの消化管癌は取り分け重要度の高い癌であり、その診断治療に果たす消化器内視鏡の位置づけは年々⼤きくなっております。また、超高齢化に伴って身体に優しい治療に対するニーズは世界的に高まっており、内視鏡機器の発展とともに良性・悪性を問わず様々な内視鏡治療手技が考案されています。

研究

・内視鏡診断

  1. 人工知能(AI)による内視鏡診断支援システムの構築
    近年のAI開発と応用の分野は発展が著しく、医療現場にもその利活用が期待されています。当グループは産学連携、医工連携のもと内視鏡診療にAIを導入する試みを機器開発当初より継続して行っています。当グループが主幹となって施行した多施設共同特定臨床研究は、早期胃癌の検出における内視鏡診断支援AIの完成と臨床導入に大いに寄与しました。また、現在AIと画像強調内視鏡を用いた大腸ポリープの検出能に関する前向き比較試験を行っており、より効率的なポリープ検出法が提案できるものと考えております。
  2. 粘膜下腫瘍に対する内視鏡診断・組織採取
    消化管粘膜よりも深部に位置する粘膜下腫瘍は内視鏡診断・組織採取ともに難しく、特に小さな病変に対する正確な診断は困難とされています。我々は超音波内視鏡にて病変の形態学的特徴に注目するとともに、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)や粘膜切開生検によって確実に病変組織を採取し、より正確な診断法を確立することを目指しています。
  3. バレット食道の病態解明を目指した国内/海外共同研究
    海外に多いとされているバレット食道は腺癌の発生母地と考えられており、近年本邦においても徐々に増加しております。我々は本邦と海外のバレット食道の違いに注目し、その内視鏡的、病理学的、分子遺伝学的な相違を検討する研究を国内および海外のバレット食道研究における先進施設と共同で展開することとしております。

・内視鏡治療

  1. 内視鏡的手縫い縫合法(Endoscopic hand suturing: EHS)の確立と普及
    内視鏡専用の持針器を用いて消化管の中で外科用縫合糸を操り粘膜縫合や消化管壁全層の縫合を行う手技を考案し、確実な消化管出血予防や新しい内視鏡手技の確立と普及のための臨床試験を行っております。現在、胃内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後出血高危険群に対するEHSの有用性に関する多施設共同第二相試験およびEHSの他疾患への適応拡大を目的とした探索的臨床研究が終了し、その将来性を確認しております。当グループの研究成果をもとに、本手技に欠かせない内視鏡用軟性持針器が2022年に本邦で、2023年にヨーロッパで発売開始となり、今後アジア諸国での販売が検討されています。
  2. 胃粘膜下腫瘍に対する安全で確実な内視鏡的全層切除法(EFTR)の開発
    比較的小さな胃粘膜下腫瘍は、内視鏡で全層切除し内視鏡で切除部を閉鎖することで体表に傷をつけることなく病変を局所切除することが可能となります。我々は消化器外科の協力のもと、安全で確実なEFTRの確立を目指しております。腹腔鏡のサポートのもと施行してきた本手技の安全性が認められ、現在、当院ではEFTRが先進医療として施行可能となっています。
  3. 経口内視鏡下筋層切開術(POEM)の安全性向上と食道アカラシアの病態解明
    食道アカラシアに対するPOEMにおいて、気腹によって上昇する腹腔内圧をモニタリングすることで術中も安全に手技が継続できるのではと考え、その手段の基礎的検討を行っています。また、POEM中に採取する食道筋層の生検検体を用いた病理学的解析を行い、未だ原因不明とされている食道アカラシアの病態解明を目指しています。
  4. 食道内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の術後狭窄に関する解析
    広範囲におよぶ病変に対する食道ESDは術後に狭窄をきたす可能性があります。当グループは狭窄をきたす病変の範囲に関する解析を行い、その予防策としてのステロイドの適応について検討しております。現在多施設共同研究として多くの症例データを集積し、解析精度を高める解析を行っております。
  5. 胃ESD術中出血に対する適切な止血法の検討
    胃ESDにおいては術中出血を適切にコントロールする技術が求められます。術中出血を試みる際、専用の電気メスをどのような設定で用いるのが最適かについて検討を行い、高周波電源装置の至適モードを決定する試みを行っております。

化学療法グループ

化学療法は手術、放射線治療とならんで、がん治療の中⼼的な柱の1つです。高齢化社会で、がん患者は急増しており化学療法の重要性は非常に高まってきています。我々は化学療法がより安全に有効に施行できるように、以下のような研究に取り組んでいます。

研究

  1. 切除不能・再発食道がんにおけるnivolumab単独治療の効果と安全性の検討
    背景:2020年2月に切除不能・再発食道がんの2次治療以降としてnivolumab単独治療が保険収載され使用が推奨された。2022年6月に切除・不能再発食道がんの1次治療としてnivolumab+化学療法が保険収載され使用推奨された。したがって、今後nivolumab単独治療の件数は激減することが予想される。目的:nivolumab単独治療が切除不能・再発食道がん診療に与えた影響とその効果、安全性に関して調査すること。
    方法:切除不能・再発食道がん症例でnivolumabを使用例と不使用例の背景や生存期間などを調査する。Nivolumab使用例のは背景、治療効果、生存期間、治療成功期間、有害事象に関して調査する。
  2. 再発 切除不能胃癌に対する3次治療としてのnivolumabの治療成績と安全性の評価
    背景:2017年に切除不能・再発胃癌の3次治療としてnivolumab単独治療が推奨された。その後、2021年12月に切除不能・再発胃癌の1次治療としてnivolumab+化学療法が推奨となった。従って、今後nivolumab単独治療は施行数が減少することが予想される。目的:再発切除不能胃癌におけるNivolumab 3次治療の特徴を見いだす。
    方法:2017年10月から2021年12月までに当科で治療を行った3次治療としてのnivolumab単独治療の成績(患者背景、奏功率、nivolumab以降の生存期間(OS)、最終的にBSC後のOS 、有害事象)をnivolumab登場前(2012年から2016年)の3次治療の成績と比較することでnivolumab単独3次治療の特徴を検討する。
  3. 切除不能・再発食道扁平上皮癌に対するS-1単独治療の位置付けの検討
    背景:切除不能・再発食道扁平上皮癌に対するS-1単独治療の位置づけは明確でない。
    目的:後ろ向きに解析しS-1単独治療の位置づけを検討することを目的とした。
    方法: S-1単独治療を行った切除不能・再発食道扁平上皮癌患者を対象とする。対象を5-FUを含む前治療に非不応群と不応群に分けて、その背景、全生存期間(OS)、S-1治療成功期間(TTF)、全生存期間に対するS-1もしくはS-1+5-FU 含治療の寄与率として各々のS-1 TTF/OSとS-1+5-FU含治療 TTF/OS、S-1治療効果、5-FUを含む前治療のbest response、S-1有害事象に関して後ろ向きに比較解析することでS-1単独治療の効果的な使用法を検討する。
  4. 自験例から考えるStageIV頚部食道癌の治療戦略
    背景:stage4食道・気道狭窄を来たし易く治療に難渋することが多い。
    目的:今回我々は自験例の治療成績を解析することでStageIV頚部食道癌の治療戦略を検討した。
    方法: stageIV頚部食道癌症例を対象とする。対象を短期、中期、長期生存群に分け、その治療経過(食道・気管の狭窄程度、治療効果など)を解析することで頚部食道癌診療の特徴を見いだし今後の治療戦略を考察する。
  5. 臨床的特徴から考えるESMO group2 大腸癌の治療戦略
    背景と目的:切除不能大腸癌の化学療法は分子標的薬の登場もあって飛躍的に進歩してきた。しかし、腫瘍量の非常に多い切除不能大腸癌(original ESMO group2)の予後は極めて厳しいままである。今回、original ESMO group別切除不能大腸の臨床的特徴からoriginal ESMO group2の治療戦略に関して検討する。
    方法:切除不能大腸癌を対象とする。症例をESMO のgroup2群とgroup1、3群の2群に分け、それぞれの背景や治療成績に関して後ろ向きに調査し、その結果をもとにgroup2群の治療戦略を考察する。
  6. 切除不能小腸癌におけるmFOLFOX6治療の有効性と安全性の研究
    背景と目的:小腸腺癌は希少疾患であるために切除不能例の化学療法に関して第3相試験はなく標準化学療法は存在しない。今回我々は初回治療としてmFOLFOX6を施行した切除不能小腸腺癌の治療成績を後ろ向きに解析し、その有用性を検討する。
    方法:初回治療としてmFOLFOX6を施行した切除不能小腸腺癌例を対象とする。PS0~2群(良好群)と3~4群(不良群)に分けて患者背景、治療成功期間、治療効果、有害事象、全生存期間に関して後ろ向きに検討を加える。
  7. 高齢切除不能・再発食道扁平上皮がん化学療法の現状と課題
    背景・目的:切除不能再発食道扁平上皮がんの化学療法は心臓や腎臓に負荷のかかるレジメン(5-FU+CDDP(FP)ベース)が標準治療として施行されることが多い。一方で高齢化社会に伴い治療対象も高齢化しつつありFPベース治療を安易に施行できない症例に遭遇することも、しばしば経験される。今回、我々は自施設における切除不能再発症例の治療内容と成績を年齢別に後ろ向きに解析することで、高齢症例治療の現状を確認し課題を見いだすことを目的とした。
    方法:当科で診療した切除不能再発食道扁平上皮がん症例を対象とし、64歳以下(A群)、65~69歳(B群)、70~74歳(C群)、75~79歳(D群)、80歳以上(E群)に分類して治療状況(緩和治療(BSC)のみの頻度、1次・2次治療施行状況、各治療レジメンの施行状況、有害事象、生存期間)を解析することで高齢症例の現状と課題を考察する。
  8. 相同組換え修復欠損を有する高齢者の切除不能膵癌に対するプラチナ製剤を含む抗癌剤治療の有効性と安全性の検討
    背景:相同組替え修復欠損とは、DNA修復機構の一つである相同組換え修復に異常がある状態のことを表し、多くの癌で見られる特徴の一つである。相同組替え修復欠損を有する癌においてはプラチナ製剤の有効性が高まる報告があり、癌治療の効果予測因子となりうると期待されている。膵癌でプラチナ製剤を含む抗癌剤治療としてはFOLFIRINOX療法がある。しかし多剤併用療法のため、薬剤による副作用が多くかつ多様で、また非高齢者を対象として確立された治療であり、高齢者における安全性と有効性は確立されていない。
    目的:相同組換え修復欠損を有する高齢者の進行膵癌患者に対する適切なレジメンを明確にすること。
    方法:当院でFOLFIRINOX療法を受けた相同組換え修復欠損を有する高齢切除不能膵癌患者の背景、治療効果、有害事象に関して後方視的に解析を行う。
  9. ゲムシタビン不応の高齢者膵癌に対する2次治療でのFOLFIRINOX療法の安全性と有効性
    背景: 膵癌は高齢者ほど発生頻度が高く、平均寿命の伸長とともに高齢膵癌患者は増加している。また膵癌診断時の年齢中央値は70歳と報告され、40%は75歳以上で診断される。一方、加齢による身体的・生物学的変化が薬物動態に影響をあたえかねず、非高齢者を対象として確立された膵癌の標準治療は、高齢者にそのまま外挿する事はできない。そのため高齢者膵癌の治療は確立されていない。ゲムシタビン不応の切除不能膵癌患者の2次治療としてはフルオロウラシルを含む治療が推奨され、FOLFIRINOX療法も考慮されるが、高齢者を対象とした2次治療での報告は少ない。
    目的:ゲムシタビン不応となった高齢者膵癌患者に対する2次治療でのFOLFIRINOX療法の有効性と安全性を非高齢者と比較する事で明らかにする。
    方法:ゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法が不応となり、modified FOLFIRINOX療法を当院で受けた局所進行あるいは遠隔転移、術後再発の膵癌患者を70歳以上の高齢者、70歳未満の非高齢者の2群に分け、安全性と有効性を後方視的に解析・比較を行う。
  10. 切除不能膵癌患者への3次治療以降でのFOLFIRINOX療法の有効性と安全性の検討
    背景:膵癌の標準治療は1次治療としてゲムシタビン、アブラキサン併用療法とFOLFIRINOX療法、2次治療としてはオニバイド、5FU/LV併用療法があり、3次治療以降の抗癌剤治療は定まっていない。2次治療の標準治療であるオニバイド、5FU/LV併用療法はゲムシタビンが不応の膵癌患者が適応となっているため実臨床においては1次治療でゲムシタビン・アブラキサン併用療法、2次治療でオニバイド、5FU /LV療法が用いられ、3次治療ではFOLFIRINOX療法が検討されることが多い。しかしFOLFIRINOX療法は多剤併用療法のため、薬剤による副作用が多くかつ多様で、3次治療での有効性、安全性は確立されていない。
    目的:切除不能膵癌患者への3次治療以降でのFOLFIRINOX療法の有効性と安全性を明らかにする。
    方法:当院において3次治療以降でFOLFIRINOX療法を受けた切除不能膵癌患者の背景、治療効果、有害事象を後方視的に解析を行う。

胃グループ

研究

  • ・胃・十二指腸の機能性疾患である機能性ディスペプシアの臨床研究および、IBS-Cに対する臨床研究
  • ・ボノプラザンを用いた機能性ディスペプシア患者に対する治療成績に関する研究
  • ・超音波内視鏡を用いての早期慢性膵炎と機能性ディスペプシアの研究
  • ・膵酵素異常を伴う機能性ディスペプシアの国際研究
  • ・早期慢性膵炎、膵酵素異常を伴う機能性ディスペプシア患者における超音波内視鏡像と膵癌バイオマーカーであるApoA2iの基礎的研究
  • ・機能性ディスペプシア患者を対象にした内視鏡特殊光を用いた共同研究
  • ・多施設共同研究による膵酵素異常、早期慢性膵炎、慢性膵炎の病態進行の解明
  • ・ESD症例のH. pylori陽性胃炎患者におけるCOX-2のSNPに関する研究
  • ・消化器癌における癌幹細胞表出マーカーの発現におけるCOX-2の役割
  • ・胃癌ESD症例を含む胃癌リスク因子とAI診断との研究
  • ・多施設共同研究による、過敏性腸症候群における十二指腸粘膜の粘膜内炎症の研究
  • ・機能性ディスペプシア患者を対象とした腸内細菌プロフィールの解析

上記を学内のみでなく、学外とも協力し行っている

大腸・小腸グループ

炎症性腸疾患・大腸憩室出血、憩室炎の治療に関する研究と、小腸疾患の研究を主に行っています。

研究

・小腸部門:

小腸検査に関しては、カプセル内視鏡、ダブルバルーン内視鏡を導入し、国内有数の小腸内視鏡検査施設となっています。カプセル内視鏡は、最新テクノロジーによって開発されたカプセル型の小型カメラを口から飲み込むだけで小腸が検査できる、被験者の負担が非常に少ない優れた検査です。当施設は1200例を超える検査を実施して国内トップクラスの施行数です。北総病院の藤森病院教授は読影法セミナーなどを通して他施設に指導しています。また、ダブルバルーン内視鏡は全小腸を内視鏡観察しながら止血術や組織検査、さらにはポリープ切除術や狭窄拡張術などの処置を行うことのできる優れた検査です。この検査も当施設では2000例以上行っており、国内有数の施行数となっており、指導施設として広く認知されています。そのため希少な疾患を診断することも多く、小腸癌は50例以上経験しており、国内では2番目に多い症例数を誇ります。その利点を生かしてカプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡を用いた研究あわせて、⼀流誌を含む20本程度の英文論文を発表しています。

・大腸部門:

大腸部門では、大腸内視鏡による大腸ポリープの切除、早期大腸がんの粘膜切除術・粘膜下層剥離術などの内視鏡的診断・治療とともに研究を行っています。最近では、早期発症大腸腫瘍の臨床病理学的特徴の探究、AIによる大腸ポリープ検出率の研究を行っています。これらの診療により、内視鏡専門技術習得を目指す医師の技術向上、専門医取得を目指しています。また、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)の診療にも取り組んでいます。現在、潰瘍性大腸炎患者約220例、クローン病患者約100例を診療しています。プロバイオティクスなどを応用した治療研究を海外の専門誌に発表するなど、治療のみならず研究活動も行っています。近年では、大腸憩室出血・憩室炎の治療・予後を中心に症例を集積し、研究発表も行っています。

肝胆膵グループ

研究

慢性肝炎の臨床研究

C型慢性肝炎の治療の進歩はめざましく、現在インターフェロンを使用しない内服薬である直接作動型抗ウイルス薬(DAA)が主流であり、非常に高い有効性を認めている。日本医科大学肝臓グループとしては積極的にこの治療を導入しており、また医師会や患者会を通じて啓発活動も行っている。全国でも常にトップクラスの症例数を経験しており、肝臓臨床研究グループでは、実臨床におけるC型慢性肝炎の治療成績を様々な角度から解析し国内外の学会発表や英文論文の執筆活動をしている。毎年国際学会(米国肝臓病学会、欧州肝臓学会、アジア太平洋肝臓学会など)に肝炎の研究成果を発表しており、国内でも数多くの研究成果を報告している。英文論文も慢性肝疾患関連で当教室よりこれまで60 編以上執筆している。またB型慢性肝炎における新規薬剤の国際共同試験にも参加しており今後の治療の変遷が期待されている。現在本邦に最も多いとされている脂肪性肝疾患に関する薬物治療の治療成績に関する研究にも取り組んでおり、多くの慢性疾患の臨床・研究に幅広く対応できるように日々研鑽している。さらに現在、国内の主要な肝臓専門施設との多施設共同研究も実施中であり日本医科大学が中心的な役割を担っている。国際的に著名な主要大学とも国際共同研究に力を入れており、これらの大学とのパイプを生かして国際留学も含め若手の教育にも力を注いでいる。また現在日本医科大学として慢性肝炎の5つの新薬の開発試験に参加している。

肝硬変・門脈圧亢進症における臨床研究

当科は難治性腹水、難治性食道静脈瘤に対して、高度先進医療として経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)を、1992年の導入以来210例に行っており、日本で最多の症例経験を有する施設である。しかしながら高度先進医療の適応でなくなり、現在、限られた症例にしか行うことができない。そのような中、近年の肝硬変に対する目覚ましい薬物療法に注目し、腹水、肝性脳症、門脈血栓症、静脈瘤、皮膚掻痒症などに関する臨床データを様々な角度から解析し臨床における疑問を解決すべき研究に邁進している。国内外の主要学会でもおおくの演題を発表し、英語論文も多数執筆してきた。また、門脈圧亢進症や肝細胞癌の治療は肝臓内科だけでなく放射線科や消化器外科とも協力して多角的な治療を目指している。

門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症の解明における基礎研究

臨床研究のみならず、臨床における疑問を明らかにすべく、基礎医学教室と連携し基礎研究にも力を注いでいる。門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症の発症の分子機構解明と、その診断・治療法の開発を長期目標に、BMP9のPoPHにおける病態生理学的意義、肝星細胞のBMP9発現抑制の転写制御機構、肝硬変患者における血中BMP9値の臨床的意義を解明するべく研究に従事している。

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